先日ウェブデザイン技能検定2級を受験しました。 試験の感触は非常に良好で、試験後に公開された学科試験正答での自己採点は35/40で及第点を超えていました。 また、実技試験についても持ち時間が有り余る程に早く完成して何度も見返しているので、普通に考えて合格以外考えられません。 アート系に資格は不要という意見が大勢ですが、何事にも当人が意味を見出せれば意味はあるのだと思います。 この資格に意味を見出した人へ向けて参考になる情報を発信できれば幸いです。 受験料もバカ高いし再受験の時間も無駄なので絶対に一発合格する戦略で臨んで合格出来そうなので、方法論としては間違っていない筈だと思ってます。
目次
ウェブデザイン技能検定とは
建て付け上はWebデザイン系唯一の国家資格ということになっていいます。 1〜3級の3ランクに分かれており、所管する厚生労働省のHPによれば...
「ウェブデザイン職種」は、パソコンや携帯端末を通じ、様々な情報をインターネット上に掲載し、これを配信することを目的に、ウェブサイト(ホームページ)のデザイン(設計)を行う仕事を対象としています。
技能検定制度等に係るポータルサイトより
まあ医師免許や教員免許みたいにそれが無いと従事できない訳ではないし、デザインなんていう一番クリエイティブな業種に画一的な資格の意味があるのか甚だ疑問ではあります。 資格取得すると「○級ウェブデザイン技能士」を名乗れるらしいのですが、ネットの何処を探しても名乗っている人は殆ど居ません。
因みにこれまでの資格取得者数の状況は公開されており、未だ取得者自体が少ない黎明期の資格と推察されます。
特定非営利活動法人インターネットスキル認定普及協会の公式HPより
2級の位置付け
出題範囲については主催する団体の公式HPを参照願います。 同種の民間の資格であるWebクリエイター能力認定試験エキスパートと両方受験した感覚的な比較をすると...
項目 \ 資格 | ウェブデザイン技能検定2級 | Webクリエイター能力認定試験エキスパート |
---|---|---|
デザインの基礎知識 | ほぼ必要無い(カラーコードの16進数の理解位) | 学科で結構求められる |
HTMLとCSSの知識 | ごく基本的な記述が出来れば良いが学科で文法や用法を問われる | ごく基本的な記述が出来れば良い |
JavaScriptの知識 | ごく基本的な記述が出来れば良いが、文法や用法を問われる 実技の記述は回避も可能 | ほぼ必要ない(HTMLでのリンクの貼り方程度) |
SQLの知識 | 毎回学科でほんの少し問われる | 全く必要ない |
法務系 | 学科で著作権等ほんの少し問われる | ほぼ必要ない |
JIS等の標準規格 | 学科で毎回問われる | ほぼ必要ない |
寸評 | コーディング知識重視 | デザイン知識重視 |
極々簡単に言うとWebクリエイター能力認定試験エキスパートのレベルに加えてITパスポートのさわりとW3CやJIS等の標準規格の知識が問われます。 エキスパートに高得点で合格した方でも事前準備なしでは相当苦戦すると思われます。
学科試験対策
先ずお断りしておきますが、🐸の最終目標は確実に一発合格する事にありました。 受験者のネット上の反応を見ていると学科は回毎に難しさに相当当たり外れがある様ですが、ハズレでも合格する事を目指しました。 因みに🐸が受験したR5年の第一回はアタリだったと思います。(笑) その前提での最善策は公式サイトで紹介されている書籍等を使用する事です。 実際3級受験の時は素晴らしく親切な参考書籍のお陰で無事合格することが出来ました。
公式サイトの参考書籍を購入
公式サイトで紹介されているウェブデザイン2級関連の参考書籍はただ一つしかありません。 主催者はコレを購入して勉強して欲しい筈であり、そういう受験者を合格さてくれるに違いない。(笑)
株式会社ウイネットのHPより
ただし書籍の内容は非常に概論的で具体的な情報に乏しく、この薄い本で事足りるとは到底思えません。 ご安心あれ、ネットチャレンジというオンラインの練習問題へのアクセスIDとPWが付属していてみっちり過去問と思しき問題を解ける、のですが... どうも相当古い過去問を使用しているらしく、一通り勉強してから後述のR3年以降の過去問を解いてみると及第点に達しないということに気付きました。
直近の過去問との出題傾向の乖離を感じます。…この書籍だけでは非常に心許ない気がします…
直近の過去問をひたすら解く
そこで方針を変えて、比較的新しい過去問をやり込む事にしました。 過去問をひたすら解いて傾向を掴むと同時に答えを完全に納得するまで理解するのです。 🐸は以下のサイトに大変お世話になりました。コレを無償でやってくれるって素晴らしい会社だと思います。
株式会社DOL(ディー・オー・エル)のHPより
勉強の仕方としては...
- スプレッドシートに回答表を作って古い方から順に解いて記入する
- 「完全に理解して正解した」、「正解だけど自信なし」、「不正解」の3種類にラベル付けして分類
- 2巡目、3巡目と全問完全に理解するまで繰り返した。
- ただし4巡目でも満点にはならず、諦めて手仕舞った。(笑)
言語系を捨てる決断をした
試験までの残り時間との兼ね合いで最終的な戦略としては... JavaScript、PHP、SVG、SQLは完全理解を諦めて問題と答えを丸暗記すると共に以下の要点だけ押さえました。
- JavaScript:constとvarがそれぞれ何かだけ理解した。
- PHP:<?phpと?>で挟んで記述するルール、echo、printで文字出力、そしてコレらは関数じゃない。
- SVG:circle要素とその使い方(cx,cy等)のみ。
- SQL:種類(DDL、DML、DCL)と過去問に登場したコマンドがどれに該当するか丸暗記。
※なお、捨てたとは言ってますが、🐸はFileMaker Pro(リレーショナルデータベース)のヘヴィユーザーであり、DBとスクリプトの素養があります。 コレ全く素養のない人が本気で捨てると3〜5問を失う事になります。
Web・IT系の基本知識に自信がある人以外にはお勧めしない戦略です。時間をかけて言語系も習得しましょう。(笑)
ITパスポートの知識は役立つ
R5年第一回を受験してて思った事があります。 「あれ、なんでこんな簡単な問題が出るんだろ?」 そしてそれはITパスポートの常識問題である事に気付きました。 そう、ITパスポートの知識があれば、3〜5問稼げるかも知れません。 過去問をしっかり勉強すれば全体の5〜6割は確実に正答出来るので、この上乗せはデカい。 Web・IT系の基本知識の向上に以下のサイトがお勧めです。
ITパスポート試験ドットコムより
「分野を指定して出題」で「法務」や「テクノロジ系」を中心に問題を解くといいと思います。
実技試験対策
学科対策でも書きましたが、🐸の最終目標は確実に一発合格する事にあり、実技試験も然りです。 実技試験は5つの課題のうち第1〜4問は毎回ほぼ完全に同じで、第5問だけ少し捻りがあります。 問2は動的なバナー作成でGIFアニメかJavaScriptのどちらかで作成する。 問5はHTMLでformを作成する5aとJavaScriptを記述する5bからの選択式である。 あくまで万全を期すために公式サイトで紹介されている動画教材を購入する事にしました。
動画教材を購入した
ヲイヲイ、いきなりチートかよ?!と思われたかも知れません。 はい、税込5800円也のウルトラチートです。(笑)絶対に不合格にならない戦略なので。 主催者の公式サイトの参考書籍等で紹介されている以下の教材を購入しました。
アテイン株式会社の公式Webサイトより
教材と言ってもネット上のオンデマンドの動画視聴権利を買うパターンです。 結論から言うと、以下の理由から凄く買って良かったと思ってます。
- Photoshopを使う問1〜2の模範解答は恐らく最強・最速のテクニック。
- HTML&CSS記述の問3〜4の模範解答は兎に角コードがシンプルで綺麗。
- 合格に主眼を置いているので設問の仕様のみに準拠し余計な装飾は一切しない。
結果として問1〜4を爆速で完成出来るので手間のかかる問5aに圧倒的な時間の余裕が出来ました。 なお、この動画教材だけでは問5aのヒネリには完全には対応出来ません。 以下は前述の動画教材では言及されていない購入した方のみに有用な問5aの補填ポイントです。
- <serect>要素の<option>要素で複数を選択可能にするのは
multiple
属性 - <serect>要素の<option>要素で初期値を指定するのはselected属性
- 最近の設問では<option>要素のvalue属性を一覧表を参照して作成せねばならず、正規表現を使用した検索・置換がほぼ必須
正規表現に関しては以下のサイトが非常に分かりやすいです。
同上HPより
JavaScriptの問題は回避した
これがウェブデザイン技能検定2級の最大の謎なのですが、学科試験ではJavaScriptの問題が出題され必須なのに対して、実技試験では回避することが出来ます。 既に学科試験のJavaScriptを捨てた🐸にとっては嬉しいですが、この資格ではJavaScriptのスキルは証明できないのではないでしょうか。 既述の通り問2の動的なバナー作成ではGIFアニメを作成しました。 問5はHTMLでformを作成する5aを選択しました。 ※因みに動画教材ではJavaScriptが分かる人は絶対に5bを選択するよう推奨していました。 5bは既存のJavaScriptファイルのほんの一部分を変更するだけなので一瞬で終わります。 逆に5aは非常に手間のかかる煩雑な作業なので時間切れの危険があります。
試験会場で留意すること
試験慣れしてない方は兎に角凡ミスに注意しましょう。 学科試験はマークシート方式で、回答だけでなく、受験番号も正しくマークしないと門前払いを食います。 実技試験ではデスクトップ上に指定された階層構造でフォルダを命名・作成して提出しないとこれも門前払いとなります。
マシン環境が貧弱
🐸はMacintoshユーザーなのでそれだけで超アウェーなのですが、そのWindowsマシンが呆れるほど貧弱。 日頃Apple Siliconの快適環境に慣れているマックユーザーは7割掛けを覚悟した方が良いです。 🐸の試験会場では富士通のテンキー付きノートPCで解像度の低い汚い画面表示も耐え難かったです。 一応Parallelsの仮想環境でWindows11での練習も少ししていたが、まさかのWindows10(笑)
Adobeのソフトはコレ?!
実技試験で使うAdobeのPhotoshopとDreamweaverは2018年版(最新はそれぞれ2023と2021)でした。 しかも無料の1週間お試し版‼️(笑)もう嫌がらせとしか思えません。 何故か基本中の基本のショートカットキーが効かず、キーマップを紐解くのすらバカらしくなってマウス操作で凌ぎました。 Adobeソフト群に不慣れな人は覚悟が必要かも知れません。
出題者との駆け引きはしない
今回の学科試験に於いて、不正解だった5問のうち、全くお手上げの問題は2問だけでした。 実は残り3問は最初に選んだ答えは正解だったのに出題者の意図を裏読みしてしまい、結果不正解となりました。 絶対的な自信はないけど何故か容易に答えが推察できる問題に関して、引っ掛け問題と怪しむのは大抵の場合失敗します。(笑) あと、選択肢の解答に同じ番号が続いても不安になってはダメです。 勘違いしがちですが、正答の選択肢番号は均等に出現する訳ではないのは言うまでもありません。
受験時の🐸のスペック
人それぞれに知識も経験値も異なるのは言うまでもありません。 ご自分のスペックと比較して自分なりに戦略を調整することをお勧めします。 🐸はWeb・IT系の業務経験ゼロ、デザイン系の業務経験ゼロ、Mac馬鹿で技術系の知識は豊富、Adobe CCの使用歴は長く基本的な操作は可能。
Webクリエイター能力認定試験エキスパート
株式会社サーティファイが主催する民間資格で、スタンダードとエキスパートの2種類があります。 エキスパートのみ学科試験があり、どちらかというとデザインの知識を問われます。 実技は単純な作業で捻りも殆どなく、スタンダードとエキスパートの違いは作業量程度。 実技にはテキストエディタかDreamweaverを選択可能で試験環境にMacintoshを選択できる点は現状に則しており非常に評価できます。 因みに🐸はMacintosh環境のDreamweaverで受験しました。 公式採点:総得点率98%(学科95%、実技100%)
ウェブデザイン技能検定3級
受験資格に制約がなく誰でも受験可能です。 いきなり2級から受験したかったのですが、🐸に2級の受験資格があるのか判断出来ず段階を踏む事にしました。 学科は出題範囲が広い分、前述のエキスパートの学科よりかなり難しいです。 実技は前述のスタンダードと同等で凡ミス以外で失点する可能性は無いに等しいです。 自己採点:学科24/25、実技絶対に満点(笑)
ITパスポート
なんでITパスポートが関係するのかと思われるかも知れません。 でも出題範囲の一部が結構被ってる気がします。 法務系、技術系の問題にはITパスポートホルダーなら常識の問題が散見されます。 これらの分野をITパスポートの過去問で勉強すると基礎力が向上するのでお勧めです。 ついでに勢いでITパスポートも狙うと言うのもアリではないでしょうか。(笑) 公式採点:総合830点(ストラテジ系840点、マネジメント系810点、テクノロジ系775点)
この資格要る?
やはり大多数が指摘する通りこの資格自体は不要だと思います。(笑) 何というか試験内容が実情から乖離している感が否めません。 WordPress等のCMSがWebサイトの主流になりつつある今、HTMLやCSSが書けることにどれ程の意味があるのか? この世に実務経験に勝るスキルは存在せず、それが一番求められている筈です。 実務経験が全くない人間が資格だけ取得してもスキルの証明には程遠いと思います。 きっとスキルのある人がこの資格を取れば多少の箔にはなるかも知れません。 クライアントに「未だ4000人しか居ない2級ウェブデザイン技能士です」と言えば聞こえが良いかも知れません。 じゃあ何で実務経験のない🐸がウェブデザイン技能検定2級を受験したのか? それは目標を達成する為の正しいプランとプロセスを遂行出来ることを証明したかったからです。 既述の通り目標は「1発合格する」こと。 そしてただ我武者羅に勉強するのではなく、現状を正しく把握して最小の労力で絶対に合格することを目指しました。 キザな言い方をすれば、 相手の太刀筋を完全に見切った上で一太刀で仕留めたつもりです。(笑) 実は同じ様にして1級に一発合格するまで続けるつもりでした。 受験資格である7年以上の実務経験、或いは2級取得から2年以上の実務経験を実務経験ゼロのままクリアできる秘策を思い付いていました。 本気だったので、ウェブデザイン技能検定1級取得講座を探して無料の相談会でしっかりと情報収集して受講を検討していました。 しかし、3級、2級と受験していく中である疑念が極大化してやる気が失せてしまいました。 「なぜ実技試験でMacintosh環境を選択できないのか?」 プロなら道具にトコトン拘らなくてはならない筈です。 🐸はプロではないけど自分の選んだ道具で臨めない試験など意味があるでしょうか? 3級を受験した時、試験管がドヤ顔で言った言葉が思い出されます。 「皆さんの職種はどんなマシン環境でも対応できなければなりません」 それよりも主催者は業種の実情に合わせて受験環境を準備するのが筋ではないでしょうか。 主催者の都合で片手落ちの受験環境を押し付けてその言い草はありえないと強く思いました。 もしこの先ウェブデザイン技能検定1級の受験環境にMacintosh環境も加わることがあれば、ぜひ1級にもチャレンジしたいと思っています。
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